靴屋の私が革靴のお手入れにクリーナーを使わないワケ

革靴のお手入れどうしてますか?

革靴のお手入れ方法をネットなどで調べると、靴に残った古いクリームや汚れにはクリーナーを使うって書いてません?

Gennojiです。

前回のブログで、私は革靴のお手入れにクリーナーは余程のことがない限り使わないと話しました。

これから革靴のお手入れを始めたいと思っている人に知って欲しいこと

今回は靴屋の私が革靴にクリーナーを使わないワケについてお話しします。

まずはじめに言っておくと、私はクリーナーが全く不要だと考えているわけではありません。靴の状態によってはクリーナーが活躍する時があるからです。

しかし、私物の靴に日頃から行なっているお手入れではクリーナーが必要となるような状況が生まれません。結果として余程のことがない限りクリーナーは使わなくなりました。

クリーナーが必要になる状況って?

説明を分かりやすくする為に、クリーナーが必要になってしまう手入れの仕方について例をあげます。

・クリームを重ね塗りし過ぎている

クリームで革の保湿をするのが大事ってよく聞きますよね。

しかし、紳士靴に使われるスムース革で、クリームが浸透する範囲って実は革のごく表面だけなんです。
紳士靴に使われる1.2㎜〜1.3㎜くらいの厚さの革で、クリームが浸透するのはせいぜい表面の0.3〜0.4㎜くらいなものです。

どんどんクリームを塗り込めば奥まで浸透するみたいな感覚でお手入れしていたら、当然余分なクリームが表面に残ってしまいますよね。

それでも、ブラッシングや乾拭きをしていれば良いのですが、拭き取りが甘いと余分なクリーム(成分にワックスを含む)が表面で固まりクリーナーを使わないといけない状況になります。

・リキッドタイプの艶出しを使っている

リキッドタイプで靴の艶出しが出来るものありますよね。口にスポンジが付いていて塗れば簡単に艶が出て便利なので使っている人も多いと思います。

しかし、リキッドタイプには一つ厄介な点があります。
大抵の場合、成分に溶剤が入ってないんですね。つまり、塗れば塗るほど成分のワックスが表面に層となって固まってしまうんです。

私も仕事で、リキッドを使われている方の靴をお預かりすることがありますが、やはりワックスが固まっておりクリーニングをする場合はある程度強力なクリーナーを使わざるを得ません。

瓶に入った靴クリームであれば、一般的に成分に溶剤が入っているのである程度は古いワックス成分も溶かしてくれます。

・靴磨き屋さんでお手入れを済ましている

靴磨き屋さんで靴を磨いてもらったことありますか?

自分の靴が見違えるようにとても綺麗に磨いてくれますよね!

そして、多くの靴磨き屋さんは磨きの工程にクリーナーを使われているかと思います。

それを見て「やっぱりお手入れにはクリーナーは必要だよな。」と思われるかもしれません。
しかしこれも訳あってのことです。

靴磨きに重要なのは、革表面の状態を均一にすることです。

例えば前回の磨きから時間が経っていれば表面に残ったワックスも所々剥げていたりと不均一になっているので、クリーナーで古いワックスを取り去るという工程が入ります。

しかし、日頃のお手入れにこまめなブラッシングをしていたらどうでしょう?

ブラッシングには革表面の状態を均一に整える効果があります。ブラッシングによる摩擦でワックス成分も均一に伸びるからです。

靴磨き屋さんに出しているからと言って、日頃のお手入れを全くしなかったら、クリーナーが必要になる状況は出てくるでしょう。

クリーナーはそもそも使い方が難しい

東急ハンズのようなお店に行くと、革靴用のクリーナーだけで多種多様の商品が売られていることがわかります。

しかし、クリーナーって意外と扱いが難しく、クリーナーによる革のトラブルも少なくないです。

多いケースとしては、洗浄力の弱いクリーナーを使っているにも関わらず、固まったワックスや汚れを落とそうとするあまり力任せに布でゴシゴシ擦ってしまうことです。

もはや洗浄力うんぬんは関係ないですよね。布の強い摩擦が革表面を痛めています。

クリーナーを使ったら、部分的に革の染色が落ちてしまったというケースはだいたい上のようなことが原因です。

クリーナーの使用を抑えるためには

これまでお話しした様々なリスクや、革を痛める原因にもなりかねないクリーナーの使用は最小限に抑えたいものです。

どうしたらクリーナーの使用を減らせるのか?

日頃からブラッシングをきちんとやる

これに尽きます。

日頃からこまめにブラッシングをやっていれば、ホコリや汚れは溜まりません。

クリームやワックスが余分に残っていても、ブラシがそれを吸収してくれるので、何度かブラッシングしているうちに革表面が最適なコンディションになってくれます。

ブラッシングを日常のお手入れとして取り入れていると、クリーナーが必要になる状況はなかなか生まれません。

最後に

始めにも言ったとおり、私はクリーナーが全く不要だと考えているわけではないです。

しかし、クリーナーを惰性的に使っていたらもちろん革に良いことはありません。(そのような使い方を紹介している媒体もありますが。)

クリーナーを使う場合は、目的を明確に持って使うということが重要じゃないでしょうか。

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あなたの街の靴屋「Life with shoes」の店主。 (@Gennoji_LWS
国内外で靴作りをした元靴職人。
これまで5000人以上の足をみて靴選びのお手伝いをしてきました。
足に合った靴の選び方、印象を良くする靴のお手入れ、靴を長持ちさせる付き合い方をお伝えします。