新型コロナウィルスが日本で騒がれ早一年。
「テレワークになって革靴を履かなくなった。」 という声も耳にするようになりました。
昨年5月の緊急事態宣言中に書いたこちらの記事。
状況は刻一刻と変わり、革靴メーカーはいま岐路に立たされています。
Gennojiです。
今回はアフターコロナの革靴の在り方について改めて考えてみます。
前回の記事で「アフターコロナでは革靴に対する世間のニーズが大きく変化するのではないか」と予測を書きました。
そして今、まさにそのような状況が到来していると感じます。
先月(2021/1月)都内企業のテレワーク導入率は57.1%(東京都調査)。もともと職場における服装の自由化は進んでいましたが、テレワーク化でさらに拍車がかかりました。
勿論、紳士服・ビジネスシューズの需要は大幅減。関連企業は業績悪化、倒産などが続き業界淘汰の波はすでに来ています。
今後コロナが落ち着いても、テレワークは既に浸透しておりビジネススタイルが元に戻ることはないでしょう。
革靴は日常から非日常へ
革靴のもっとも大きな需要であった、「ビジネスシューズ」が減少していくと、革靴の役割はどのように変化するのか?
ひとつは仕事で毎日履いていたものから、着飾る場面(非日常)の特別な装いになるということです。
例えば、冠婚葬祭のようなフォーマルな場での革靴需要は大きく落ちることはないでしょう。
これまで冠婚葬祭もビジネスシューズを使い回していた人たちが、今後は「冠婚葬祭用に一足良い靴を持っておこう」という方向にシフトする可能性はあります。(ドレスシューズのレンタル業が始まってもおかしくないかも。)
このような役割の中では、機能性よりも高級感が重視されるようになるかもしれません。
革靴は趣味嗜好の分野へ
仕事で履く履かないに関わらず、「革靴好きな人」ってたくさんいます。
革が好き、ファッションとして好き、ワークブーツが好き、靴磨きが好き、好む理由は人それぞれですが、「革靴」が趣味として成り立っていることは言うまでもありません。
そして今後、革靴はより趣味嗜好の分野にシフトすることが考えられます。
MTO(Made To Order)をメインとするブランドが増えていることもこの流れでしょう。多少値が張っても付加価値の高い靴を求めている人は一定数います。
趣向は人それぞれ違うので、メーカーにはニーズに合わせて細かく対応出来る小ロット生産が求められるのではないでしょうか。
靴を履かない人はいない
世の中は変わっていくものであり、それに合わせて人の求めるものも変化します。
それでも靴を履かない人はいません。
メーカーは根本に立ち返り「靴の役割とは何か?」を考えることも大切ではないでしょうか。
例えば、靴の役割が足の「保護」と「サポート」だとすれば、柔らかいだけの靴が足を保護してくれるだろうか。ゆったりした靴が歩行をサポートしてくれるだろうか。
こういった視点から革靴メーカーが提案出来ることもあるはずです。
最後に
今回はアフターコロナの革靴の在り方について改めて考えてみました。
今後も革靴を履くことに価値を感じる人は履くし、価値を感じない人は(必要に迫られないと)履かないでしょう。
革靴に関わっている身としては、業界のシュリンクは他人事ではないですが、嘆いていても始まりません。
これから何が出来るか、どんな価値を提供出来るかが一番大切ではないでしょうか。