「大切にしていた革靴にひび割れが!!」
こんな経験をされた方もいるかと思います。
気がついた時は本当にショックですよね、、
もうこれ以上、悲しい思いはしたくない。
Gennojiです。
今回は、あなたの大切な革靴をひび割れから守るための対策についてお話しします。
ひび割れを起こさない為には、日頃の靴の扱い方がとても大切です。
ひび割れがなぜ起こるのかを理解して、対策(というより少しの心掛け)すれば、ひび割れを回避することが出来ます。
革がひび割れてから対策を始めても遅いのです。
革がひび割れてから対策しても遅い
時々お客さんから、
「靴がひび割れしてしまった。修理出来ないだろうか?」
とご相談を受けることがあります。
残念ですが、一度ひび割れしてしまった靴を完全に元に戻すことは出来ません。
出来ることは、あくまで目立たなく補修することです。
修理屋さんがよくやるのは、サンドペーパーでひび割れ部分を削り取り、顔料で着色するやり方です。
ひび割れの程度によっては補修でかなり綺麗に目立たなくなります。
費用は掛かりますが、大切な靴であれば修理に出すのもひとつです。
しかし前述した通り、補修は目立たなくすることを目的としており、革の状態が再生するわけではありません。
靴の扱い方によってはひび割れが再発してしまいますし、革の表面を削っていることで耐久性は以前より落ちます。
ですから、日頃からひび割れを起こさないよう気をつけることが何より大切なのです。
革靴がひび割れを起こすワケ
ひび割れ対策には、まず敵を知ることです。
多くの方は、ひび割れが起こると「お手入れが足りていなかったのかな?」と考えると思います。
しかし、お手入れだけの問題ではありません。
ひび割れの根本的な原因について説明します。
・靴のサイズが合っていない
革のひび割れが起きやすいのが、屈曲部分の履きじわです。
履きじわはどんなに気をつけても入るものなので、それ自体を気にする必要はありません。
しかし靴のサイズが大き過ぎると、靴内部の空間が余っている為、しわがより深く入り履きじわ部分の負荷が大きくなります。
革靴のひび割れが起きた時は、靴のサイズが合っているのかも気にしてみてください。
・革が乾燥している
これは想像しやすいと思います。
革がひび割れるということは、革の柔軟性が落ちている、つまり革が乾燥している可能性があるということです。
ビンテージの革靴を見ると、時々革の表面が剥離するように割れているものがあります。
これは長期間の放置やホコリの付着で革の乾燥が進んだことによるものでしょう。
しかし数ヶ月放置していたからといって、すぐに革が乾燥するということはありません。
もっと注意すべき点があります。
・一番多い原因は雨に濡らすこと
実はもっとも多いのは、革靴を雨に濡らしたことが原因でひび割れが起こるケースです。
革は一度濡らすと乾いた時に硬くなる性質があります。また乾くと表面の油分も抜けます。
つまり一度雨に濡らした革靴は、乾くと濡らす前より柔軟性がなくなり、ひび割れやすくなるのです。
革靴を雨に濡らしたらアフターケアに気を使う必要があるのはこのためです。
濡らすことがひび割れに直結するわけではないですが、日頃から負荷が掛かっていた部分が、濡らしたことでダメージとなって表に出てくることがあります。
・革のお化粧が割れる
革は表面に仕上げ(お化粧)が施されていることが一般的です。
染料で染められているもの、顔料を塗っているもの、その上に樹脂を塗っているものなど革によって様々な仕上げが施されています。
革表面の仕上げ層が厚い(つまり厚化粧)ほど、ひび割れのリスクが高くなります。
仕上げ具合の見分け方は、革本来の自然な風合い(毛穴や色ムラ)が見てとれる革は薄化粧、表面が無機質で均一な革は厚化粧と言った感じです。
薄化粧の革はきめの細かさが求められるので比較的高価になりますし、安価できめの粗い革は目立たないよう厚化粧しているものが多いです。
盲点なのは、靴クリームの厚塗りも革の仕上げと同様のことが言えるということです。
靴クリームに含まれる顔料やロウが表面に層になって固着することで、ひび割れやすい状況になります。
お手入れが必要と思うあまり、必要以上に靴クリームを使用しては逆効果なのです。
ひび割れを起こさない為の対策
ひび割れの原因が分かったところで、実際どのように対策すれば良いのでしょうか?
・正しいサイズの靴を選ぶ
靴のサイズが合っていないと部分的な負荷が大きくなりひび割れに繋がります。
正しいサイズ選びをすることが、ひび割れ対策になにより効果的です。
・ブラッシングをこまめにする
日頃からこまめにブラッシングすることがとても重要です。
乾燥の原因になるホコリを取り去ってくれるのはもちろん、革表面のコンディションを整える効果もあります。
ブラッシングの摩擦で表面に固まっているロウや油分が柔らかくなり均一に伸ばされます。
また日頃からブラッシングを習慣にしていると、靴の状態が気にとまるので、ひび割れのサインに早い段階で気づけるものです。
これから革靴のお手入れを始めたいと思っている人に知って欲しいこと
・雨用の靴を用意する
一番良いのは、ひび割れて欲しくない靴を雨の日に履かないことです。
雨の日には雨用の靴を履く。
これが出来れば、ひび割れに悲しむことがぐっと減ります。
革靴にも雨の日に適した靴というものがあるので、一足は用意しておきたいものです。
・雨に濡らしたらアフターケアを
雨に濡らしてしまった場合はどうすれば良いのか?
可能な限り水気を拭き取って陰干しします。
(直射日光やドライヤーで急激に水分を飛ばすのは、ひび割れの原因になります。)
完全に乾いてから、革の柔軟性を戻すために靴クリームで油分を加えます。
革を揉んでみて、柔軟なことを確認してから履くようにしましょう。
詳しくはこちらの記事を参考にどうぞ。
・同じ靴を連日履かない
汗も雨と同じことです。
一日履いた靴はコップ一杯分の汗を吸収しているなんて言われます。
同じ靴を連日履き続けていれば、吸った汗がいつまでもこもり続け、革の劣化に繋がります。
革靴は一日履いたら二日くらいは通気性の良いところで湿気を抜くようにしましょう。
最後に
今回は、あなたの大切な革靴をひび割れから守るための対策についてまとめました。
どんなに大切に扱っていても、時には経年劣化によりひび割れてしまうこともあるでしょう。
しかし、長年大切に扱われてきた靴は見れば分かるもの。
そういった靴は、つま先の傷もひび割れもシミも不思議と素敵な雰囲気に映ります。
あなた色に染まった世界に一足だけの靴だからです。
本当の靴の寿命というのは、靴がくたびれて見えた時だと思います。
大切にしたいと思うあなたの気持ちがあれば、靴は末長く足元で輝いてくれます。